摂食障害のホームページ

*

タグ : 糖尿病

【9】-3 Barker仮説とDOHaD ④ しくみ 2型糖尿病 その1

なぜ胎児期に低栄養に曝されることで、将来的に生活習慣病になりやすくなるのでしょう?

2型糖尿病発症の面から考えてみます。

胎児の糖の流れを追ってみましょう。

胎児は栄養のすべてを母親に依存してします。

胎児の栄養源は母親の食べるものと母親の身体自身です。

胎児の血糖は、母体の血糖をそのまま反映しています。

一方、血糖を下げるホルモンであるインスリンは、胎児の膵臓から分泌されています。

胎児が使うインスリンは、胎児自身の膵臓が分泌したものなのです。

血糖の上昇は、インスリンを分泌する上で、最も強い刺激となります。

胎児は母親から糖をもらって、自分でインスリンを分泌し、糖を細胞内に取り込み、成長していきます。

胎児期に適度にインスリンを分泌することが、胎児の膵臓の発育を促すと思われます。

【9】-3 Barker仮説とDOHaD ③ 概要 その3

胎児期の低栄養が、将来的な生活習慣病発症と相関することは多くの疫学研究が証明しています。

母体の「やせ」、妊娠中の体重増加不良は、胎児期の低栄養を引き起こすでしょう。

その他、妊娠高血圧症候群や重い妊娠糖尿病では胎盤機能が低下し、胎児期の低栄養を引き起こします。

胎児期の低栄養の結果、子どもは低出生体重児・不当軽量児(妊娠週数相当よりも少ない体重の児)として出生することになります。

低出生体重児とは、2500g未満の体重で出生した子どもを指します。

早期産児は未成熟なので、満期で出生するよりも体重が少ないのは当然のことです。

早期産児でも、週数相当の体重がある場合と、週数相当よりも体重が少ない場合があります。

出生時に、週数相当よりも体重が少ない子どもを不当軽量児と言います。

低出生体重児や不当軽量児は、胎児期に子宮内低栄養があったことが予測されます。

母体の「やせ」は、わが子に生活習慣病の種をまくことになります。

肥満・高血圧・高脂血症・2型糖尿病などの生活習慣病は動脈硬化を悪化・進行させます。

動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながります。

【9】-3 Barker仮説とDOHaD ② 概要 その2 生活習慣病(成人病)

近年、生活習慣病が著しく増加しており、その積極的な予防は緊急の課題です。

その波は子どもにも広がっており、子どもに発症する生活習慣病も問題となっています。

成人後発症が多く、かつて成人病とも呼ばれた生活習慣病ですが、いまや子どもに発症することも珍しくなくなってきました。

生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などがその発症・進行に強く関与する疾患とされます。

生活習慣病の代表的なものは、肥満・高血圧・高脂血症・2型糖尿病などです。

生活習慣病は動脈硬化を悪化・進行させ、心筋梗塞や脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重大な病気を引き起こします。

日本人の3大死因は、悪性新生物(がんなど)、心疾患(心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)といわれています。

心疾患では心筋梗塞が、脳血管疾患では脳梗塞が増加傾向にあります。

心筋梗塞も脳梗塞も動脈硬化に基づく疾患です。

生活習慣病は、死因にもなるような重篤な疾患を引き起こすベースなのです。

日本では、生活習慣病の原因のほとんどが生活習慣によるもの、と考えられているかもしれません。

生活習慣病は、因果関係が単純ではなく、さまざまな要素が重なり合っています。

食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣は、生活習慣病と深く関わっていますが、生活習慣病の原因ではなさそうです。

この生活習慣病の起源を、その方がまだ母親のお腹の中にいるときに子宮内の低栄養に曝されたことにある、とする説がBarker仮説です。

【9】-2 妊娠中期 ~後期 妊娠糖尿病 ⑧ 摂食障害とのカンケイ その3 「やせ」と妊娠糖尿病

若年期に「やせ」で、将来的に妊娠糖尿病を発症する女性のなかに、低出生体重で生まれた方も含まれているでしょう。

低出生体重児が将来的に妊娠糖尿病や2型糖尿病となる機序は、インスリン分泌不全が考えられています。

低出生体重児は、生きていく上での余力がそれほどたくさんありません。

その余力が少ない結果が「やせ」としてあらわれている可能性もあります。

母親が摂食障害を患っているがために「やせ」の状態で妊娠し、その影響で子どもが低出生体重で出生することもあるでしょう。

その子どもは将来的に妊娠糖尿病や2型糖尿病になりやすい体質となります。

母親が摂食障害であれば、その子どもも摂食障害となる可能性があります。

子どもが摂食障害を発症していれば、若年期の「やせ」はある意味当然の結果です。

若い頃に「やせ」があり、妊娠時に妊娠糖尿病を発症する女性の中には、このような方もいるはずです。

若年女性の「やせ」の群で、なぜ妊娠糖尿病の発症率が高いのか、今後の知見が待たれます。

【9】-2 妊娠中期 ~後期 妊娠糖尿病 ⑦ 摂食障害とのカンケイ その2 「やせ」と妊娠糖尿病

妊娠前に「やせ」であっても、妊娠糖尿病となりやすいようです。

20歳時のBMI 18未満のやせ女性はBMI 18以上の女性と比して妊娠糖尿病の発症率が高かった、という報告があります。

これは日本人を対象としたものです。

「やせ」体型の人は、妊娠による身体の変化でインスリン分泌不全を呈しやすいのでしょうか。

妊娠糖尿病は、2型糖尿病発症予備軍でもあります。

日本人の2型糖尿病の半数は肥満を背景としないインスリン分泌不全型です。

「やせ」を伴った若い女性には、インスリン分泌不全型の2型糖尿病の予備群が多いのでしょうか。