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【10】-3 2型糖尿病 ④ 2型糖尿病と摂食障害 その1

摂食障害を患っている方が過食の果てに2型糖尿病となることは十分ありうることです。

意思の力ではどうにもならないのが過食衝動だからです。

過食はいわばインスリンの無駄遣いのようなもので、早々に膵臓からのインスリン分泌枯渇を招く可能性があります。

また、過食に伴い高脂血症や内臓脂肪の蓄積が起こると、インスリン抵抗性が増します。

また、摂食障害は非常に病識に乏しい病気です。

2型糖尿病を発症する方々の中に、無自覚な摂食障害がかなりの数含まれているかもしれません。

これといった自己管理をせずにだらしなく生活して、どんどん肥満していく人は、過食症の可能性があります。

お腹がいっぱいという感覚をあてにしていると、いつまでも食事を止められなかったり、だらだら食べてしまう背景には、過食衝動があります。

糖尿病なのに食事制限できないあなたは、だらしないのでもなんでもなく、過食症、摂食障害という病気なのかもしれません。

【10】-3 2型糖尿病 ③ 子宮内低栄養の影響 その2

ありとあらゆる不摂生をしても生活習慣病を発症しない方は、その方の母方祖母の時代から、至適で、よほど恵まれた子宮内環境を過ごしてきた、ということです。

母親の卵子は、その母親が胎児期、母方祖母の子宮にいるときに出来上がります。

子宮内の環境は、母親のみならず、母方祖母の時代から重要なのです。

母となる女性は、健康、栄養に恵まれることで、子ども、孫にいたるまで、お金では買えない素晴らしい体質をプレゼントできます。

妊娠女性が栄養に恵まれる、というのは、過剰に体重が増えるということではありません。

詳しく知りたい方は、【9】-4 妊娠にふさわしい体格・体重増加 ①~⑮ をご覧ください。

欧米人に比して日本人が2型糖尿病を発症しやすいという体質に、胎児期の低栄養がどれほど強く関わっているのか、非常に興味深いことです。

日本では、若年女性のやせ、妊婦さんの妊娠時体重増加不良が見られ、徐々に問題視されるようになってきました。

これは非常にゆゆしき事態です。

妊孕性のある若年女性のやせや、妊娠時体重増加不良は、お腹の子どもに、将来的に2型糖尿病やメタボリックシンドロームを発症しやすい体質を与えてしまう危険があります。

摂食障害があると健康被害があってもやせを追及したり、妊娠中も体重をちょうど良く増やせないことがよくあります。

また、摂食障害は病識に乏しく、摂食障害であるという自覚のないまま妊娠している場合もあるでしょう。

日本における若年女性のやせや妊婦さんの体重増加不良の背景には、摂食障害の影響が少なからずあるはずです。

そしてそれは、将来、日本を担う子ども達に牙をむくことになる病気の温床なのです。

【10】-3 2型糖尿病 ② 子宮内低栄養の影響 その1

2型糖尿病は、「自己管理ができていない」、「だらしない」など、世間的に厳しい見方をされる場合もあるかもしれません。

生活習慣病は生活習慣が原因と誤解している方が多いのでしょうが、必ずしもそうではありません。

これといった自己管理もせず、だらしなく生活しても、生活習慣病を発症しない方もいます。

高血圧や高脂血症、2型糖尿病の発症は、そもそも胎児期に子宮内低栄養に曝されたことに端を発している場合があります。

その場合、2型糖尿病の発症に深く関係しているのは、その方の生活習慣でも自己管理でもなく、母体の低栄養です。

母体に「やせ」や低栄養があると、子宮は、胎児にとって生きるか死ぬかのサバイバルの場と化します。

強い生命力があれば、過酷な子宮内の環境を生き抜いて、この世に生まれてきます。

それは、その赤ちゃんが胎児期に、過酷な子宮内において死ぬよりはマシな取捨選択をした結果です。

その取捨選択の結果、その赤ちゃんは将来以下のようなリスクを背負うことになります。

・膵臓でのインスリン分泌能力の低下やインスリン抵抗性増強が起こりやすく、糖尿病(2型糖尿病、妊娠糖尿病)になりやすい。

・腎臓を原因とする高血圧になりやすい。

・肝臓の発育抑制の影響で高脂血症を発症しやすい。

・高血圧、糖尿病、高脂血症など複数が併存することで、動脈硬化性病変が起こりやすい。(メタボリックシンドローム)
 脳や心臓など重要臓器の血管に動脈硬化が起こると、心筋梗塞、脳梗塞など重大な病気につながる。

子宮内低栄養があると、それを生き抜くために胎児は取捨選択せざるを得ません。

その結果、生き物として備えるべきあらゆる生体能力の余力の幅は、かなり狭められてしまいます。

子宮内を生き抜くため獲得した胎児期の体質は、将来、2型糖尿病などの生活習慣病にかかりやすい体質となって残り、いずれ自分自身に牙をむくようになります。

胎児期の子宮内環境が将来の生活習慣病といかに結びついているか、興味のある方は、【9】-3 Baker仮説とDOHaD ①~⑳ をご覧ください。