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【9】-4 妊娠にふさわしい体格・体重増加 ⑩ 摂食障害とのカンケイ その5 妊娠前の肥満

摂食障害の妊婦さんの妊娠前の体格が肥満であったとします。

妊娠前の母体に肥満がある場合、妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・帝王切開分娩・巨大児分娩などの可能性が高くなります。

これらの合併症は妊娠中の体重増加過剰で悪化するものばかりです。

しかし肥満の原因が過食衝動にあれば、妊娠中の体重増加過剰も十分ありうることでしょう。

妊娠前から肥満のある摂食障害の方が、妊娠中の体重増加過剰を防ぐには、がまんせずに過食を止めることです。

がまんせずに過食を止められる治療機関を頼ってください。

では妊娠前に肥満であった場合、妊娠中の体重増加はどれぐらいが望ましいのでしょうか。

妊娠前に母親が肥満体型でも、妊娠中の体重増加は生まれてくる子どもの乳児死亡率の低下に寄与します。

妊娠前に肥満だったからといって、自己判断で妊娠中に体重を全く増やさないのは非常に危険なことです。

妊娠前から肥満がある場合、妊娠中の体重増加の推奨量は個人で異なります。

妊娠に伴う負担を担うだけの余力を超えない分、つまり体重が増えても妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を発症しないような範囲の分、体重を増やせるのがベストなのでしょう。

【9】-4 妊娠にふさわしい体格・体重増加 ⑨ 摂食障害とのカンケイ その4 妊娠前の「やせ」

摂食障害の妊婦さんの妊娠前の体格が「やせ」であったとします。

妊娠前の母体に「やせ」がある場合、早産・胎児発育不全・常位胎盤早期剝離・低出生体重児分娩の可能性が高くなります。

妊婦さんに摂食障害があって、やせ衝動が強く働けば、妊娠中の体重増加はうまくいきません。

妊娠前から「やせ」で、妊娠中の体重増加まで不良では、上記の妊娠合併症のリスクがさらに増し、子どもへの悪影響も大きくなります。

その子どもは将来的に生活習慣病となりやすいでしょう。

妊娠中の体重を順調に増やせた場合、「やせ」による妊娠合併症の発症は少なくなり、子どもへの悪影響も減るでしょう。

しかし摂食障害がある場合、妊娠中の体重増加を良好に保つことはかなり難しいでしょう。

摂食障害の方には、「ちょうどよい」とか、「適量」などの物事のさじ加減が難しいことが多いようです。

「やせ」が良くないと思いつめて食べる努力をすると、これが過食衝動につながることもあるでしょう。

過食衝動に火がつけば、今度は妊娠中の体重増加が過剰となりかねません。

体重増加過剰の一般的な目安はありますが、どのラインが体重増加過剰になるのかは妊婦さん個人で違います。

体重増加に伴って妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群が生じた場合、その時点で体重増加が過剰であるともいえます。

「やせ」の状態にある女性は身体の余力が少ないことも予測され、その場合妊娠中の体重増加過剰の上限も低いことでしょう。

妊娠高血圧症候群を合併した場合、胎盤機能の低下から子宮内低栄養を引き起こすこととなります。

子宮内低栄養があれば、やはり子どもは将来生活習慣病になりやすいでしょう。

妊娠前から「やせ」のある摂食障害妊婦さんの妊娠中の体重管理は、かなり難しいものになるでしょう。

しかし、摂食障害という病気の特徴を考えると、食事や体重管理が思うようにいかないのは当たり前のことなのです。

【9】-4 妊娠にふさわしい体格・体重増加 ④ 日本人妊婦の体重増加管理は難しい?その1

人の身体には余力というものがあります。

その余力の幅には個人差、民族差があるようです。

妊娠は、女性にとって身体の余力を十二分に必要とする事態です。

日本人には、肥満を伴わないインスリン分泌不全型の2型糖尿病が多いなどの特徴があります。

「やせ」のある日本人若年女性に妊娠糖尿病が合併しやすいという特徴もありました。

私たち日本人には、民族差のためか、その他の理由かはっきりしませんが、この身体の余力がたくさん備わっていない人が多いのかもしれません。

それはちょうど、低出生体重児として生まれた女性が、妊娠時に妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群を合併しやすいことと似ています。

低出生体重で生まれると、身体の余力が少ないことが多いようです。

低出生体重で生まれた女性が妊娠したときに妊娠合併症が起こりやすいのは、妊娠に十分耐えうるまでの身体の余力がないからです。

低出生体重児であった女性が妊娠した時に、その妊娠中の体重管理はおそらく難しいものになるでしょう。

少なすぎると胎児に低栄養の悪影響が蓄積し、多すぎると母親に妊娠合併症が増えることが予測されるからです。

この場合産婦人科医は、妊婦さん個々の体質やお腹の赤ちゃんのことなど、さまざまなことを考慮して母体の体重管理を行い、注意深く妊娠分娩経過を見守る必要があるでしょう。

日本人女性が妊娠した時、その方にふさわしい妊娠中の体重増加を促すためには、微妙なさじ加減を必要とする方が多いかもしれません。