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【9】-3 Barker仮説とDOHaD ⑭ 日本ではあまり知られていない?

生活習慣病の起源は、胎児期に子宮内の低栄養に曝されたことにある、とするのがBarker仮説です。

Barker仮説は、DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)という概念に広がっています。

胎児期に限らず発達期における種々の環境因子が、成長後の健康や疾患発症のリスク因子に影響を及ぼす、という概念がDOHaDです。

そのメカニズムは遺伝子レベルの変化によることまで明らかになりつつあります。

胎児期の栄養と生活習慣病との関連についての研究分野で、日本は世界に比べて大きな後れをとっています。

一般の方はもちろん、医療従事者にも、これらの考えがいまだに浸透していないのかもしれません。

【9】-3 Barker仮説とDOHaD ⑬ 子孫への影響 その2

母体の妊娠前の「やせ」か妊娠中の体重増加不良が原因で、低出生体重児として出生した方が、女の子だったとします。

その生活習慣病の素因は世代を超えて受け継がれる可能性があります。

低出生体重であった女性は低出生体重児出産をしやすいためです。

子宮内低栄養によって胎児期に受けた卵子への影響が、将来の低出生体重児の出産と関係しているかもしれません。

このことは生活習慣病の素因が連綿と受け継がれていく可能性を示します。

また低出生体重であった女性は、「やせ」以外の子宮内低栄養をまねく妊娠合併症にもなりやすいことが知られています。

妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病です。

妊娠高血圧症候群や重度の妊娠糖尿病は、胎盤機能の低下により胎児に低栄養を引き起こします。

このことは、子宮内低栄養を経験した女性が妊娠したときに、子宮内低栄養の環境がその女性の子宮内、胎内環境で増幅されうることを示します。

子宮内低栄養によって胎児がこうむる害は、ただ受け継がれるだけでなく、さらに増幅されて子孫に受け継がれる可能性があります。

やせた状態での妊娠や妊娠中の体重増加の過少は、子どもに害を及ぼします。

妊娠する前から「やせ」があって、妊娠中も体重増加が不良である場合、その影響は最も大きく出るでしょう。

このことについて、医療従事者も一般の方々も十分に知る必要があります。

【9】-2 妊娠中期 ~後期 妊娠糖尿病 ⑤ 概要 その5 不都合・予後

妊娠糖尿病の病的な意義は、いくつかあります。

妊娠糖尿病では、巨大児や不当重量児(妊娠週数相当よりも体重が重い児)が生まれるリスクがあります。

母体の高血糖が胎児の高インスリン血症を引き起こします。

その結果、胎児の身体発育が過剰に促進されて巨大児となるといわれています。

母体に比して胎児が大きすぎる場合、帝王切開が必要になるでしょう。

医療技術は日進月歩ですが、お腹を切らずにすめばそれに越したことはありません。

経膣分娩と比較すると、帝王切開にはそれ相応のリスクがあるということです。

また、巨大児や不当重量児として出生した場合、赤ちゃんが低血糖となりやすいでしょう。

胎内の高血糖の環境と外界がまったく異なり、赤ちゃんに高インスリン血症の名残があるからです。

低血糖は脳にダメージを与えます。

生後すぐの低血糖により、赤ちゃんのその後の発達に影響がでる場合もあるでしょう。

その他、妊娠糖尿病は将来の2型糖尿病発症のリスク因子であることが知られています。

妊娠糖尿病を発症した方は、将来的に2型糖尿病を発症しやすいのです。

妊娠糖尿病を発症した場合、産後に耐糖能が正常化しても、内科での年単位のフォローアップが必要です。