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カテゴリ : 【02】摂食障害による低体重への対応

【2】-1 摂食障害と低体重

(1)体重増加への恐怖

神経性食欲不振症(拒食症)の診断基準(DSM-5)には、
「体重増加や肥満への強い恐怖」
「体重や体型の感じ方の障害」
という表現があります。

神経性過食症(過食症)の診断基準には、
「体重増加を防ぐために自己誘発性嘔吐、下剤や浣腸剤、利尿剤の誤用あるいは激しい運動などを繰り返し行う。」
「自己評価は、体重や体型に過度に影響を受けている。」
という表現があります。

過食性障害(むちゃ食い障害)の診断基準には、
「過食に関して明白な苦痛がある。」という表現があり、
ここには、体重が増えることに対する嫌悪の感情が少なからず含まれていると考えられます。

摂食障害の患者さんにとって、「太ること」は、恐怖、不安、嫌悪など、
ありとあらゆる不愉快な感情を引き起こす出来事です。

神経性過食症では、この不快な感情を感じないために代償行動が起きるという面もあるでしょう。
摂食障害では、神経性食欲不振症から神経性過食症への移行など、
病態が推移することがよくあります。

(2)やせ衝動

私にも「神経性食欲不振症、摂食制限型」の時期がありました。

体重計に乗った時に体重が減っていると、とても安心したことをよく覚えています。
摂食障害をかじったことのある医療従事者であれば、
「拒食症」というと「肥満恐怖」「やせへの希求」という言葉が思い浮かぶでしょう。

「肥満恐怖」「やせへの希求」は、「やせ衝動」とも言えるのではないでしょうか。

「衝動」は自らの意志でコントロールすることができません。

摂食障害の患者さんには、どの病型であろうと、多かれ少なかれ「やせ衝動」があると考えられます。

やせ衝動がありながら、
過食衝動に伴う過食や過食嘔吐もあるので、
摂食障害を患っている人の体型はさまざまです。

(3)低体重の慢性化

診断基準から、神経性食欲不振症には低体重を伴っています。
そして、その身体的不都合の多くは低体重に起因します。

もちろん、病気を根本から治して「やせ衝動」をなくせば、苦労なく体重を増やすことができるようになるでしょう。

残念なことに、摂食障害医療の現状はといえば、病気の原因もはっきりしておらず、治療の確立もままならない状態です。

やせていること自体が病気の症状である神経性食欲不振症の患者さんに、今の医療は何ができるのでしょうか。

飢餓症候群について

飢餓症候群というモデルがあります。

やせていることによって食べ物への執着が強くなり、
心理面でもイライラしやすかったり、
視野が狭くなり頑なになりやすかったりする、
というものです。

現在の医療では、この飢餓症候群というモデルにのっとって、
とにかく、まずは体重を増やす方向で治療に取り組んでいるようです。

どうにかして体重が増えてくれば、心理面でのイライラや頑なになる傾向が軽快して、
さらに治療に反応しやすくなるという考えです。

摂食障害の患者さんにとって体重を無理やりにでも増やすことは、強い心理的苦痛を伴います。

よほどうまく事が運ばないと、医療従事者と患者さんとの関係悪化も起こりうるでしょう。

このような治療の難しさも関係しているのでしょう。

摂食障害の患者さんの中には長期間著しい低体重の状態で過ごしている方もいます。

現在の医療は、
このような患者さん方に対しては、
どのような対応をしているのでしょう。

まさか、医療従事者たるもの、
「体重を増やせないのは患者の責任だから仕方が無いよ。」
とは思っていないでしょう。

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