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【9】-15 Barker仮説とDOHaDとは

(1)日本ではあまり知られていない?

生活習慣病の起源は、胎児期に子宮内の低栄養に曝されたことにある、とするのがBarker仮説です。
Barker仮説は、DOHaD(Developmental Origins of Health and Disease)という概念に広がっています。
胎児期に限らず発達期における種々の環境因子が、成長後の健康や疾患発症のリスク因子に影響を及ぼす、という概念がDOHaDです。
そのメカニズムは遺伝子レベルの変化によることまで明らかになりつつあります。
胎児期の栄養と生活習慣病との関連についての研究分野で、日本は世界に比べて大きな後れをとっています。
一般の方はもちろん、医療従事者にも、これらの考えがいまだに浸透していないのかもしれません。

(2)子どもの将来の為に知っておくべき概念

母体となる女性の体格は、妊娠する前から、妊娠分娩経過やお腹の子どもの健康と深く関わっています。
妊娠前、母体となる女性に「やせ」がある場合、妊娠経過・これから授かる子どもの健康・その後の子孫の健康までも著しく害されうることを、あなたは知っていますか?
世界保健機構(WHO)は、「やせ」の基準をBMI 18.5未満と定めています。
母親となる女性の体格は、これから授かる命の、成人後の健康にまで影響しています。
これから授かる命が成長して子どもを授かったとき、その子どもの健康にまで影響します。
あなたが女性であるならば、Barker仮説や、そこから派生したDOHaDの概念を知っておくべきでしょう。
母体の「やせ」や妊娠中の体重増加不良が原因で、お腹の子どもは子宮内で低栄養に曝されます。
子宮内で低栄養に曝された結果、お腹の子どもが将来的に生活習慣病(成人病)になりやすくなる、とする説がBarker仮説です。
この項目では、母体の「やせ」や妊娠中の体重増加不良が将来的に子どもにどういう影響を及ぼすか、ということに焦点を当てます。

(3)子どもの生活習慣病(成人病)について

近年、生活習慣病が著しく増加しており、その積極的な予防は緊急の課題です。
その波は子どもにも広がっており、子どもに発症する生活習慣病も問題となっています。
成人後発症が多く、かつて成人病とも呼ばれた生活習慣病ですが、いまや子どもに発症することも珍しくなくなってきました。
生活習慣病とは、食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などがその発症・進行に強く関与する疾患とされます。
生活習慣病の代表的なものは、肥満・高血圧・高脂血症・2型糖尿病などです。
生活習慣病は動脈硬化を悪化・進行させ、心筋梗塞や脳卒中(脳出血・脳梗塞)などの重大な病気を引き起こします。
日本人の3大死因は、悪性新生物(がんなど)、心疾患(心筋梗塞など)、脳血管疾患(脳梗塞・脳出血など)といわれています。
心疾患では心筋梗塞が、脳血管疾患では脳梗塞が増加傾向にあります。
心筋梗塞も脳梗塞も動脈硬化に基づく疾患です。
生活習慣病は、死因にもなるような重篤な疾患を引き起こすベースなのです。

生活習慣だけが原因か?

日本では、生活習慣病の原因のほとんどが生活習慣によるもの、と考えられているかもしれません。
生活習慣病は、因果関係が単純ではなく、さまざまな要素が重なり合っています。
食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣は、生活習慣病と深く関わっていますが、生活習慣病の原因ではなさそうです。
この生活習慣病の起源を、その方がまだ母親のお腹の中にいるときに子宮内の低栄養に曝されたことにある、とする説がBarker仮説です。

(4)低出生体重児と不当軽量児

胎児期の低栄養が、将来的な生活習慣病発症と相関することは多くの疫学研究が証明しています。
母体の「やせ」、妊娠中の体重増加不良は、胎児期の低栄養を引き起こすでしょう。
その他、妊娠高血圧症候群や重い妊娠糖尿病では胎盤機能が低下し、胎児期の低栄養を引き起こします。
胎児期の低栄養の結果、子どもは低出生体重児・不当軽量児(妊娠週数相当よりも少ない体重の児)として出生することになります。
低出生体重児とは、2500g未満の体重で出生した子どもを指します。
早期産児は未成熟なので、満期で出生するよりも体重が少ないのは当然のことです。
早期産児でも、週数相当の体重がある場合と、週数相当よりも体重が少ない場合があります。
出生時に、週数相当よりも体重が少ない子どもを不当軽量児と言います。
低出生体重児や不当軽量児は、胎児期に子宮内低栄養があったことが予測されます。
母体の「やせ」は、わが子に生活習慣病の種をまくことになります。
肥満・高血圧・高脂血症・2型糖尿病などの生活習慣病は動脈硬化を悪化・進行させます。
動脈硬化は心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気につながります。