摂食障害(過食症・過食嘔吐)のホームページ



【18】-2 生活習慣病・メタボリック症候群へとつながる「しくみ」

(1)太っていなくてもなる?!

糖尿病や生活習慣病の発症については、過食をしている患者さん本人が、なんとなく意識しているかもしれません。そして、なかには、太らなければ大丈夫、と思っている方もいるのではないでしょうか。医学の知識があっても、かつて私も同じように考えていました。
しかし、もともとインスリン分泌能の低い日本人の体質に加え、過食と食事制限のくり返しには、普通の人ではまず起こらない、からだの血糖コントロールの乱れが生じます。
そのため、たとえ太っていなくても、過食と食事制限をくり返していれば、2型糖尿病、その他メタボリック症候群を発症する危険性は充分に高いでしょう。

(2)過栄養と飢餓状態の繰り返しによる体内の変化

過食と食事制限のくり返しによって、体内では過栄養状態と飢餓状態が定期的に交互にやってくることになり、それがからだの糖代謝を狂わせ、高血糖、高インスリン血症、インスリン抵抗性の上昇をまねくことになります。
過食による高血糖は、過食の前にからだが飢餓状態に陥っているほど起こりやすくなるでしょう。飢餓状態になったからだが糖の替わりとして用いる脂肪酸は、からだのインスリン抵抗性を上げ、わずかな糖で体内の血糖を保っています。カテコラミン、糖質コルチコイドなど血糖を上げるためのホルモンも上昇しています。そんななかで、いきなりたくさんの食べ物がからだに取り込まれたら、一時的に高血糖になりやすいでしょうし、過食が消化管ホルモンの分泌異常をまねくと過剰な量の糖が血液中に取り込まれ、高血糖になる場合もあるでしょう。(早期ダンピング症候群様の病態)
また、高血糖それ自体が、からだのインスリン抵抗性を上げるので、高血糖を経験すればするほど、からだはたやすく高血糖に傾くようになります。

摂食障害によるストレスとストレスホルモン

からだが飢餓状態のときには血糖を上げるためのホルモンである糖質コルチコイドというステロイドホルモンが上昇しますが、糖質コルチコイドはインスリン抵抗性を上げる作用がある他、高脂血症、高血圧、おなかまわりに脂肪がつきやすくなる、などの作用があります。糖質コルチコイドはストレスホルモンとしても知られ、ストレスによっても分泌が促されます。摂食障害の方にとって、過食衝動を抑えながら食事制限することは、大きなストレスです。そのストレスによっても糖質コルチコイドの分泌が増え、インスリン抵抗性の上昇、高脂血症、高血圧、内臓脂肪の蓄積が促進されうるでしょう。
過食と食事制限(節食、絶食)のくり返しは、このようにして、糖尿病、高脂血症、高血圧、内臓脂肪の蓄積などの生活習慣病・メタボリック症候群へとつながるでしょう。