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【17】-3 摂食障害・過食症・拒食症合併妊娠と早産、流産の関係

(1)妊娠高血圧症候群と早産

摂食障害に合併しやすい妊娠合併症がいくつかあります。
なかでも、おなかの赤ちゃんに大きな影響が出るのが、流産、早産です。
妊娠の早い時期に赤ちゃんが亡くなってしまうのが流産です。
妊娠中期以後で、予定日より早く赤ちゃんが生まれてしまうのが、早産です。
切迫流産・早産は、流産あるいは早産になりかかった状態にあるものの、なんとか妊娠を維持している状態です。
妊娠22週など早すぎる早産では、赤ちゃんが亡くなってしまう場合もあります。
早すぎる早産の原因として、母親の妊娠高血圧症候群という妊娠合併症があります。
妊娠高血圧症候群は、母親に脳出血などの重い合併症を起こすこともあります。
妊娠高血圧症候群をベースとして、命に関わるような合併症を起こした場合、母体の命を救うため、おなかの赤ちゃんにとってどんなに時期尚早でも、妊娠を終了させなくてはいけません。
摂食障害の妊婦さんは妊娠高血圧症候群を合併しやすいことが知られており、摂食障害・過食症・拒食症合併妊娠は早すぎる早産の原因ともなりうるわけです。

(2)摂食障害によるストレスとのカンケイ

摂食障害はなにかとストレスの多い病気ですが、流産、早産は母体のストレスと深く関係しています。
摂食障害・過食症・拒食症の方は、流産、切迫流産、早産、切迫早産につながるような過大なストレスを抱え込みやすいのです。
日々を普通に過ごすだけでも耐えられないほどのストレスが溜まり、それが過食や過食嘔吐のエネルギーになっている方もいます。
妊娠すると、そこに母体としての身体の変化、環境の変化など変化の波が押し寄せ、さまざまな変化に際してのストレスも加わってきます。
過食衝動があるのに、なんとか我慢して過食や過食嘔吐を止めている場合も、症状に伴う問題は無くとも、その我慢によるストレスは相当なものです。
摂食障害の方にとって、過食衝動があるのに過食や過食嘔吐を我慢する状態というのは、普通の人にとって息をするのを我慢するのと似ていて、とうてい我慢できるはずのないことです。
それを無理やりに我慢したときのストレスは、その影響で流産や早産となったり、身体に大きな不調がでても、なんら不思議ないほどのものなのです。

(3)過食や嘔吐が子宮を圧迫するリスク

過食に伴い異常に胃がふくらんだり、過食嘔吐のせいで変に腹圧がかかると、子宮が圧迫されておなかが痛むなど、早産の兆候がでる場合もあるでしょう。
嘔吐する際に、大きくなった子宮を押しながら嘔吐する方もいます。
当然ながら物理的に子宮を圧迫することも早産のリスクとなるでしょう。
また、大きくなった子宮を物理的に圧迫することは、おなかの赤ちゃんにとっての命綱である胎盤を傷つける可能性のある、大変危険な行為です。

(4)母体の低栄養が母子の命を奪う

摂食障害・過食症・拒食症にみられる肥満恐怖ややせ衝動の影響で、妊娠中にうまく体重が増やせない方もいます。
妊娠の全期間、程度の差はあれ、母親の体重は増え続けている状態がふつう、正常です。
母体の体重が増えるべき時期に、体重が減る、あるいは体重が増えない状態は、母親自身も、おなかの赤ちゃんも低栄養の危機に曝されているということです。
妊娠中の低栄養は早産を助長し、また栄養不足による母親の貧血も早産のリスクです。

栄養不足によっても鉄欠乏性貧血になりますが、鉄欠乏性貧血は、下剤・便秘薬の常用や規定量以上の使用、過食嘔吐でよく見られる身体合併症でもあります。
母体の鉄の不足は、早産の原因になる上に、おなかの赤ちゃんの体重が十分増えない(低出生体重)結果にもつながります。
妊娠前からやせた体型でかつ妊娠中も体重が増やせないと、常位胎盤早期?離(じょういたいばんそうきはくり)という恐ろしい妊娠合併症に罹りやすくなり、結果、早産となる場合もあるでしょう。
常位胎盤早期剥離はおなかの赤ちゃんの命ばかりか、母親の命も奪うことのある恐ろしい妊娠合併症です。

(5)早産児に残る障害

摂食障害やなんらかの母親の病気の影響で早産となっても、赤ちゃんは、赤ちゃんを救命するための集中治療室などで専門的な治療を受けることができます。
しかし、壊死性腸炎や脳室内出血など、早産ゆえに命に関わる合併症も多くあり、命が助かっても、脳性まひなどの障害が残る場合もあるでしょう。
また、早産児には、命に関わらずとも、未熟児網膜症など失明にも至ることもある病気や、発達障害・低学歴を合併しやすいなどの問題もあります。

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