摂食障害のホームページ

*

タグ : 糖尿病

【10】-3 2型糖尿病 ③ 子宮内低栄養の影響 その2

ありとあらゆる不摂生をしても生活習慣病を発症しない方は、その方の母方祖母の時代から、至適で、よほど恵まれた子宮内環境を過ごしてきた、ということです。

母親の卵子は、その母親が胎児期、母方祖母の子宮にいるときに出来上がります。

子宮内の環境は、母親のみならず、母方祖母の時代から重要なのです。

母となる女性は、健康、栄養に恵まれることで、子ども、孫にいたるまで、お金では買えない素晴らしい体質をプレゼントできます。

妊娠女性が栄養に恵まれる、というのは、過剰に体重が増えるということではありません。

詳しく知りたい方は、【9】-4 妊娠にふさわしい体格・体重増加 ①~⑮ をご覧ください。

欧米人に比して日本人が2型糖尿病を発症しやすいという体質に、胎児期の低栄養がどれほど強く関わっているのか、非常に興味深いことです。

日本では、若年女性のやせ、妊婦さんの妊娠時体重増加不良が見られ、徐々に問題視されるようになってきました。

これは非常にゆゆしき事態です。

妊孕性のある若年女性のやせや、妊娠時体重増加不良は、お腹の子どもに、将来的に2型糖尿病やメタボリックシンドロームを発症しやすい体質を与えてしまう危険があります。

摂食障害があると健康被害があってもやせを追及したり、妊娠中も体重をちょうど良く増やせないことがよくあります。

また、摂食障害は病識に乏しく、摂食障害であるという自覚のないまま妊娠している場合もあるでしょう。

日本における若年女性のやせや妊婦さんの体重増加不良の背景には、摂食障害の影響が少なからずあるはずです。

そしてそれは、将来、日本を担う子ども達に牙をむくことになる病気の温床なのです。

【10】-3 2型糖尿病 ② 子宮内低栄養の影響 その1

2型糖尿病は、「自己管理ができていない」、「だらしない」など、世間的に厳しい見方をされる場合もあるかもしれません。

生活習慣病は生活習慣が原因と誤解している方が多いのでしょうが、必ずしもそうではありません。

これといった自己管理もせず、だらしなく生活しても、生活習慣病を発症しない方もいます。

高血圧や高脂血症、2型糖尿病の発症は、そもそも胎児期に子宮内低栄養に曝されたことに端を発している場合があります。

その場合、2型糖尿病の発症に深く関係しているのは、その方の生活習慣でも自己管理でもなく、母体の低栄養です。

母体に「やせ」や低栄養があると、子宮は、胎児にとって生きるか死ぬかのサバイバルの場と化します。

強い生命力があれば、過酷な子宮内の環境を生き抜いて、この世に生まれてきます。

それは、その赤ちゃんが胎児期に、過酷な子宮内において死ぬよりはマシな取捨選択をした結果です。

その取捨選択の結果、その赤ちゃんは将来以下のようなリスクを背負うことになります。

・膵臓でのインスリン分泌能力の低下やインスリン抵抗性増強が起こりやすく、糖尿病(2型糖尿病、妊娠糖尿病)になりやすい。

・腎臓を原因とする高血圧になりやすい。

・肝臓の発育抑制の影響で高脂血症を発症しやすい。

・高血圧、糖尿病、高脂血症など複数が併存することで、動脈硬化性病変が起こりやすい。(メタボリックシンドローム)
 脳や心臓など重要臓器の血管に動脈硬化が起こると、心筋梗塞、脳梗塞など重大な病気につながる。

子宮内低栄養があると、それを生き抜くために胎児は取捨選択せざるを得ません。

その結果、生き物として備えるべきあらゆる生体能力の余力の幅は、かなり狭められてしまいます。

子宮内を生き抜くため獲得した胎児期の体質は、将来、2型糖尿病などの生活習慣病にかかりやすい体質となって残り、いずれ自分自身に牙をむくようになります。

胎児期の子宮内環境が将来の生活習慣病といかに結びついているか、興味のある方は、【9】-3 Baker仮説とDOHaD ①~⑳ をご覧ください。

【10】-3 2型糖尿病 ① 遺伝因子と環境因子と胎児期の環境が発症に関わる

2型糖尿病は、一般に広く知られている「糖尿病」のことです。

家族や知り合いが2型糖尿病、境界型糖尿病であったりして、「糖尿病」を知っている方は多いと思います。

2型糖尿病の発症には、遺伝因子と環境因子が関係しています。

欧米人と比較すると、日本人は膵臓のインスリンの分泌能力が低く、インスリン抵抗性がつきやすいという体質があります。

飢餓に強い倹約型の日本人として体質は、飽食の時代には2型糖尿病の遺伝因子となるようです。

また、両親のどちらか、あるいは両方が2型糖尿病であるならば、自身も2型糖尿病を発症しやすい遺伝因子を持っているということです。

環境因子としては、過食、肥満、ストレス、運動不足などがあります。

これらはすべて細胞のインスリン抵抗性を上げ、インスリンを効きにくくするものです。

遺伝因子と環境因子について説明してきましたが、もうひとつ2型糖尿病発症に大きく関わる因子があります。

それが胎児期の栄養環境、母親の子宮にいたときの栄養環境です。

低出生体重として出生したことや、胎児期に母体低栄養があった場合、それが2型糖尿病のリスク因子となります。

これは胎児の頃の環境が遺伝の発現に強く影響している、という点で、遺伝因子と環境因子、双方の特徴を持ちます。

2型糖尿病発症に関わる第三の因子、胎児期環境因子、とも言えるでしょう。

また胎児期の低栄養は、内蔵型肥満、高脂血症、高血圧などメタボリックシンドロームのリスク因子でもあります。

メタボリックシンドロームは、脳梗塞や心筋梗塞など重大な病気につながる動脈硬化になりやすいという疾患概念です。

さまざまな遺伝因子や環境因子、胎児期環境因子が絡まり、末端の細胞でインスリン抵抗性がつき、それを補うほどのインスリンを膵臓が分泌できないときに、2型糖尿病が発症します。

ごくごく一般的な生活習慣を送っていても、2型糖尿病発症に不利な遺伝因子を持ち、かつ胎児期に子宮内低栄養があった場合など、ただ年を取って行くだけで、加齢が環境因子として働き、2型糖尿病が発症しうるのです。

【10】-2 糖尿病とは ⑦ 高血糖の害 その2 糖異常代謝産物の害

もうひとつ、高血糖の害悪は、過剰な糖が代謝され生じる複数の物質が、血管障害や細胞障害性を持つことです。

通常であれば、血管内の糖はすみやかに肝臓や骨格筋でグリコーゲンに形を変え保存され、糖の余剰分は脂肪細胞に脂肪として蓄積されます。

糖尿病ではその行程がうまくいかず、食事のたびに多量の糖が体内をさまようことになります。

このあふれた糖が、異常な代謝経路に入ってしまい、血管障害・細胞障害性を持つ代謝産物の増加や活性化を引き起こします。

数多ある細胞に酸素や糖などの栄養を届け、物質をヤリトリするために、人の身体には血管が細かく張り巡らされています。

身体のすみずみの細胞にまで血流がゆきとどいた状態で、あらゆる臓器は正常に機能します。

高血糖はこの細かく張り巡らされた血管にダメージを与えるため、さまざまな臓器に深刻な障害が生じるのです。

糖尿病の三大合併症である糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害は上記により生じる微細血管障害、神経細胞障害が病気の本態です。