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【15】-5 摂食障害・過食症の理想的な治療方法 ① 楽に、早く、過食・過食嘔吐・チューイングが止められたら、止め続けられたら・・・

 
摂食障害のための認知行動療法や、ガイデッドセルフヘルプ法では、患者さん自らが積極的に症状に取り組む姿勢が重要で、人によっては、症状が増えかねないほどのストレスがかかることもあるでしょう。

対人関係療法、各種精神療法は、人間関係のストレスが減ったり、気持ちが楽になる場合があるようですが、過食衝動を無くすアプローチではないため、全般的に心が良くなっていても、症状が漫然と続いてしまう場合も少なくないでしょう。

まず、症状による苦痛を無くした上で根本的な治療に取り組む、というのが病気を治療するときの一般的なやり方です。

症状による苦痛がひどいほど、まずは症状による苦痛を無くす、軽減することが重要です。

症状にまみれた現状を地獄のように感じている摂食障害の患者さんはたくさんいます。

そういった方々にとっては、症状が楽に止め続けられるというのは、日々の精神的なストレスが格段に減るということでもあります。

ところが、病院、医療機関が、楽に、早く、過食・過食嘔吐・チューイングを止める、止め続けるという医療を提供できないのであれば、症状を出しながら、病院、医療機関が提供できる医療を受けるしかありません。

過食衝動そのものに焦点をあて、過食衝動を無くすことで、摂食障害の症状を、ガマンせず、ムリもせず、いち早く止める、止め続けることができます。

これはどこにでもできることではありません。

過食衝動を無くさずに、過食を止めようとすれば、がまんせざるを得ず、襲い来る過食衝動と戦うしかありません。

過食衝動を無くさなければ、楽に、早く過食・過食嘔吐・チューイングを止めたり、止め続けることはできません。

過食・過食嘔吐・チューイング症状に煩わされながら、心の問題に取り組むのは、アルコール依存症の人が断酒せずにアルコール依存症を治そうとしているようなものです。

症状に煩わされながら、摂食障害・過食症の治療を受けることは、患者さんにとって負担が大きく、よけいな回り道をしているようなものです。

摂食障害の治療に先んじて、無理せず、安定して過食・過食嘔吐・チューイングを止めることができれば、これほど患者さんにとって楽なことはありません。

日本で実現可能で、最も摂食障害の患者さんにとって負担の少ない治療は、
楽に、早く、安定的に過食・過食嘔吐・チューイング・下剤や利尿剤の誤用などの摂食障害の症状を止めた上で、
病院・医療機関での治療、本当の心の問題に取り組む、あるいは、身体合併症やうつ病などの併存症を治療する、というものです。

過食衝動そのものに焦点をあて、過食衝動を無くすことで、摂食障害の症状を、がまんせずにいち早く止める、止め続けることができます。

これは、過食衝動とは拒食や飢餓に伴う生理的過食衝動がほとんどすべてである、という捉え方で治療している医療機関では、まずできないことです。

過食衝動を無くして、症状をムリせず止めることのできる専門機関に頼り、過食・過食嘔吐・チューイングなどの摂食障害の症状を無理なく、安定的に、いち早く止めましょう。

その上で、心の苦しさがあれば、精神科・心療内科での治療や、カウンセリングを受けることも良いでしょう。

それまで続いていた過食・過食嘔吐・チューイング・下剤や利尿剤の乱用による悪影響は、確実に身体に蓄積されていますが、症状が止まってはじめて、その厳しい現実にも向き合うことができるでしょうし、内科や歯科を受診するなど、必要な行動がとれるようになるでしょう。

【15】-3 摂食障害の専門的な治療について ④ 精神療法の立場からみた過食・過食嘔吐・チューイングへの対応

摂食障害・過食症の根本的な解決を望むのであれば、長期間の精神療法、カウンセリングが必要となるでしょう。

精神療法における過食・過食嘔吐・チューイングなどの症状への具体的な取り組みはどうなっているのか、専門書からの抜粋です。

・食行動などの症状は防衛的な産物とみなし、症状の改善を一義的な治療の目的とはしない。
(「摂食障害の最新治療」 p 189 第10章 力動的精神療法の立場から より抜粋 )

・生命に危険のない場合には、食事の摂取や嘔吐については具体的に指示せず、体重の増減にも関心を示さない。
(「摂食障害の最新治療」 p 195 第10章 力動的精神療法の立場から より抜粋)

精神療法では、過食などの症状に注目しない、さらには症状の改善を目先の目的としない、ということがはっきりと示されています。

また、以下のような記載もあります。

・治療効果の経過中に過食・嘔吐の意味を患者が分かることによって、症状が改善されていくことがある。一方それが分かっても症状が軽快しないこともある。
(「摂食障害の最新治療」 p 197 第10章 力動的精神療法の立場から より抜粋)

治療は10年近くもしくはそれ以上の長期に及ぶので、時期に応じて治療医師が変わることが多いのです。
(「摂食障害治療ガイドライン」 p 81 第7章 さまざまな治療 7-2 支持的精神療法 より抜粋)

過食や過食嘔吐の意味が分かることで症状が改善されることもあれば、改善しないこともある、というのは、精神療法の効果が出て、患者さん自身が自分の心の機微に気づいたり、心全般が楽になっていったとしても、必ずしも症状が止まるわけではない、ということを示しています。

心は楽になっているものの、症状は止まっていない、というのでは、症状を止めるために治療が必要という大前提を考えると、なんともはがゆいものです。

そのような状況で、年単位の治療を続けることができる患者さんはほとんどいないでしょう。

【15】-3 摂食障害の専門的な治療について ① さまざまな専門治療

摂食障害の代表的な専門治療として、認知行動療法、対人関係療法、精神療法(力動的精神療法、精神分析的精神療法、支持的精神療法)、家族療法、薬物療法があります。

治療者の指導のもと、セルフヘルプ用の一冊の本をもとに、患者さん自らが症状の改善に取り組む方法(ガイデッドセルフヘルプ法)もあります。

ガイデッドセルフヘルプ法、認知行動療法、対人関係療法は、過食・過食嘔吐などの症状を軽減させる治療効果がある、と科学的に認められたものです。

摂食障害の患者さんが未成年の場合、家族療法の効果も期待できますが、日本では治療者、家族療法家が絶対的に不足しています。

摂食障害のための認知行動療法、対人関係療法は、数か月間~半年を目途とした、期間限定の心理療法です。

摂食障害の根本的な解決を望むのであれば、さらに長期間の精神療法、カウンセリングが必要と言われています。

過食・過食嘔吐・チューイングなどの摂食障害の症状に対して、それぞれの治療で、具体的にどのように対応するのか、さらに詳しく見ていきましょう。

【13】-6 摂食障害医療 早急に解決すべき問題

一方で、早急に改善されるべきは、摂食障害医療の混沌が治療離れを促進していることです。

摂食障害の患者さんの多くが治療する側に期待することは、なるべく早く、リバウンドなく、過食、過食嘔吐、チューイング症状を無くすことです。

医院、クリニック、病院などの医療機関に行き、摂食障害、過食症の症状が苦もなくピタリと止まり、その後再発しなければ、大勢の患者さんが喜んで医療機関を受診するでしょう。

ところが、摂食障害、過食症専門の病院、クリニックでの治療、カウンセリング相談などでは、過食、過食嘔吐、チューイング症状を、楽に、いち早く止めることを第一の目的とした治療を展開していません。

その上、摂食障害、過食症に適した治療を受けられる治療機関は、日本ではまだ少ないようです。

症状軽減を目的として、抗うつ剤などを使用することもあるようですが、効果のほどははっきりしていません。

抗うつ剤、抗精神病薬、抗不安薬など精神科系薬物の使用は、気持ちが楽になったり眠れるようになるなど役立つ面もありますが、長期使用の弊害が懸念され、それこそ薬の副作用である処方薬依存の問題もあります。

依存症の性質を強く持つ摂食障害、過食症に対して、脳に効く精神科系の薬物を使用することは、危険も伴うため、本来は、よほど熟達した医師のさじ加減が必要なのです。

病院、医院、クリニックなど、医療機関が提供できるものと、摂食障害、過食症の患者さんが最も望むことの食い違いが、摂食障害医療の混沌を生み、それが摂食障害、過食症の治療離れにも影響しているでしょう。

また、摂食障害、過食症の治療に携わるとき、治療者は、常にアレキサイミアの関与について注意を払うべきでしょう。

摂食障害、過食症の患者さんの多くは、医療従事者を含む他者とのコミュニケーションに困難を抱えています。

そこにアレキシサイミアが加わり、その関与が治療者の念頭に無ければ、双方の行き違いは、またたく間に深刻なものとなりえます。

摂食障害、過食症が治療に結びつきにくく、治療離れを起こしやすいのは、依存症としての病態を考えれば、避けられないことです。

しかし、摂食障害を治そうとする医療従事者が治療離れを促進する事態は避けなければなりません。

【12】-3 摂食障害に万引きをくり返す場合の対処方法 ① 治療体制の不確立

摂食障害・過食症の方が常習窃盗を合併した場合、患者さんはどうしたらよいのでしょう。

常習窃盗単一でも、その精神病理は非常に複雑かつ根深い性質のもので、社会的にも対応が確立されておらず、治療は難しいでしょう。

摂食障害医療に携わったことのある医療従事者であれば、摂食障害・過食症にくり返す万引き(常習窃盗)を合併しやすいことを知っています。

あなたが過食症で、万引きをくり返していて、主治医に万引きについて打ち明けたとします。

万引きに関して、主治医から糾弾されたとしたら、残念ながらその医師に摂食障害の専門知識は無いか、非常に乏しいと言わざるを得ません。

確かに、この問題は一朝一夕でどうこうできるものではなく、医師であったとしても思わず見ないふりをしたくなるほどのものかもしれません。

しかし、この問題を否認し、放置すればするだけ、一個人の中で、ひいては社会中に、この問題の根がさらに広く深くはびこっていくだけです。

摂食障害・過食症に見られるくり返す万引きは、医療面からは勿論、司法の面からも、社会的に解決に向けて取り組み続けるべき問題です。

解決にあせるのではなく、問題意識を持ち続けることです。

ひとつ、はっきりしていることがあります。

過食や過食嘔吐、チューイング症状を抑え込まずに、いち早く止めることができれば、摂食障害に見られる万引きの要因のふたつが無くなります。

抑え込まずに過食や過食嘔吐を止めるには、過食衝動を無くすことです。

過食衝動が無ければ、盗み食いをする必要が無くなり、ガマンせずに症状が止まり続ければ、少なくともそれ以後の過食費の心配は無くなります。

これによって、万引きを誘発しにくくなり、多重嗜癖としての万引き行為も改善する可能性があります。

摂食障害・過食症のみの場合、過食症状を抑えるのではなく、症状に一喜一憂せずに、あせらず治療に取り組むのも一つのやり方です。

対人関係療法がその最たるものですが、各種精神療法、カウンセリングの多くがそういったやり方を取っているものと思われます。

しかし、摂食障害・過食症に、くり返す万引きを合併している場合、悠長に構えている暇はありません。

止められない過食や過食嘔吐、チューイングが万引きを誘発し、回を重ねるごとに万引きは嗜癖化し、状況はどんどん悪化していくでしょう。

摂食障害・過食症に、くり返す万引きがある場合、一刻も早く、我慢することなく過食や過食嘔吐症状を止め続けることが緊急の課題なのです。

医学雑誌や専門書には、摂食障害・過食症の治療が、くり返す万引き行為に対して奏功する可能性について書かれています。

ここで重要なのは、患者さんが我慢することなく、かつ一刻も早く、過食や過食嘔吐、チューイング症状を止め続けることです。

過食衝動を無くせば、我慢せずとも、過食や過食嘔吐、チューイング症状は止まり続けます。