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【7】 過食のみはマシなのか

 過食嘔吐やチューイングが無い方々で、以下のように思っている方が多いようです。

Q)私は過食のみです。嘔吐が無いから、まだマシかな、と思うのですが。

A)
 あなたが、「過食のみ」の場合でも、DSM-5でいう過食性障害(むちゃ食い障害)である、とは言えません。
 過食後の絶食や極端な食事制限、過度な運動、下剤・利尿剤などの薬剤の誤用がある場合、DSM-5でいう神経性過食症や、神経性やせ症の過食排出型に相当するでしょう。
 過食嘔吐を主症状とする神経性過食症や神経性やせ症と同じ区分になるということです。

 まだマシかな、という考え方自体が、摂食障害の病的な心性であることを理解しましょう。
 過食衝動がある時点で、あなたが摂食障害という病気であることに変わりありません。
 摂食障害、中枢性摂食異常症は厚生労働省の定めた難病です。

 難病というひとつの枠組みのなかで、嘔吐していないからマシ、アルコール依存が無いからまだ大丈夫、などの比較は意味がありません。

 摂食障害は依存症としての特性もあります。適切な治療をせず放置すれば、依存する物質の種類・量がどんどん増えていくでしょう。
 自分自身を振り返れば、過食の症状だけを見ても、以前より増えていることが分かるはずです。増えていなければ依存するものが増えているかもしれません。
 数年前までは、アルコール依存症が無くても、今は毎日お酒を飲んでいるという方もいるはずです。

 「今は○○じゃないから大丈夫。」という安心材料は、未来のあなた自身が陥っている状態なのかもしれません。

 食行動異常の症状として、チューイングや嘔吐行為が無く、過食のみの場合、嘔吐・チューイングによる身体への負担はありません。
 しかし、過食による腹満感、腹痛、便通異常、過食後の異常な眠気など、過食そのものによる身体の負担はより大きくなります。
 過食が直接体重に反映されるため、肥満症、高脂血症や糖尿病などの生活習慣病にもなりやすいでしょう。

 過食をすることで体重に直接影響するため、過食後の自責・抑うつ・罪悪感は、摂食障害の各病型のなかでも、過食のみの方が最も強いことでしょう。

【9】-3 Barker仮説とDOHaD ⑳ 生活習慣病の一次・二次予防

生活習慣は、生活習慣病の病気の本質ではありません。

その方が胎児期に子宮内の低栄養によって獲得した体質と、生まれた環境とのミスマッチが、生活習慣病の病気の本質です。

胎児期の低栄養で獲得した体質は、余力がそれほど無い身体ということでもあります。

余力がそれほど無いために、ストレスによる身体の変化が起きやすく、妊娠による負担に耐えかね、加齢による影響が出やすいのです。

しかし、自身の傾向が分かっていて、注意深く生活することで、その影響は少なくなるでしょう。

注意深く生活するという意味は、食習慣、運動習慣、休養などの生活習慣を、可能な限り良好に保つことを指します。

具体的に言うと、バランスの良い食生活を送り、適度に運動し、疲れたら十分に休む、ということです。

おそらく、タバコは吸わない方がいいでしょうし、アルコールも適量に止める方がいいでしょう。

生活習慣病になりやすい体質を根本から変えることはできません。

しかし、生活習慣を良好に保つことで発症・進行を遅らせることができるでしょう。

生活習慣病になりやすい体質の人が、生活習慣をより良好に保つことは、生活習慣病の一次予防になります。

生活習慣病になりやすい体質があると分かった上で、定期健診などの身体のメンテナンスを適宜行うことによって、病気の早期発見にもつながるでしょう。

これは生活習慣病の二次予防となります。

【9】-2 妊娠中期 ~後期 妊娠高血圧症候群 ⑫ 摂食障害とのカンケイ その4 連鎖する

摂食障害は世代間連鎖します。

母親が摂食障害を患っていると、その子どもも摂食障害となりやすいのです。

アルコール依存症と同じです。

母親が摂食障害で妊娠前から「やせ」であったり、妊娠中に体重がうまく増やせなかったとします。

そうなれば、母親に他の妊娠合併症が無くとも、生まれてくる子どもは低出生体重児となるでしょう。

その子どもが女の子であった場合、将来妊娠したときに妊娠高血圧症候群・妊娠糖尿病・早産・胎児発育不全を合併しやすいのです。

母体が摂食障害を患っていると、妊娠時に忌避すべきトラブルを起こしやすい体質をわが子に与える可能性があります。

その女の子が摂食障害をも受け継いだ場合、妊娠前から「やせ」があったり、妊娠中の体重増加の不良を認めるかもしれません。

その女の子のお腹の子どもは、二重の低栄養に苦しむことになる、ということです。

母体の「やせ」や体重増加不良による低栄養と、妊娠高血圧症候群などに伴う胎盤機能の低下による低栄養です。

この場合、低栄養による被害はより深刻となるでしょう。

子宮内低栄養によって子どもが受ける被害は、胎内環境で増幅され、次世代へ継承されていく可能性があります。

そして母親が摂食障害を患っている場合、その度合いが非常に大きくなることが予測されます。

母親に摂食障害があることは、次世代への影響の面からも、非常に不利に働きます

【9】-1 ⑥ 妊娠初期・器官形成期 摂食障害、物質依存、下剤の誤用のカンケイ

胎児の重要臓器は妊娠10週までには形成されます。

胎児の重要臓器ができるまでの、妊娠3~8週は器官形成期ともいいます。

器官形成期は、母親が使用する外来の物質に非常に敏感で繊細な時期です。

母親がなにげなく摂っているような物が、胎児にとっては猛毒になることもあります。

摂食障害では、アルコールやタバコなどの物質依存を伴うことがよくあります。

私自身も、食べ物に依存する以外に、お酒、タバコへの依存がありました。

依存症患者が、複数の依存物質を必要とするのは、よくあることです。

アルコールや喫煙は、胎児に深刻な悪影響を及ぼします。

胎児の器官形成期にアルコールが作用すると、心奇形、脳奇形などが起こります。

アルコールには催奇形性があります。

これは少量のアルコール摂取でも引き起こされます。

タバコは胎児の成長に悪影響を及ぼすことで有名です。

タバコの作用で母体に血流障害が起きて、それが胎盤や胎児に影響するためでしょう。

タバコの成分であるニコチンは脳を興奮させる作用もあります。

脳に作用する物質が、胎児の器官形成期に、胎児の脳の形成に悪影響を及ぼさないわけがありません。

母親となる女性がタバコを吸っていると流産しやすいのは、ニコチンが胎児の臓器形成に悪影響を及ぼしているから、という場合もあるかもしれません。

胎児の重要臓器が形成される器官形成期を過ぎてから(妊娠10週頃)、妊娠に気付くケースは少なくありません。

妊娠に気付いてからお酒やたばこをやめても、時すでに遅しという場合もあるのです。

摂食障害では、下剤の乱用・誤用を伴うことも多く、そのほとんどが自己判断のもとに使用されています。

下剤は子宮収縮を促す場合があります。

自己判断で下剤を使用していると、流産する危険性があります。

お酒を飲む方、喫煙習慣のある方、自己判断で下剤を使用している方は、妊娠を希望する場合、まずそれらの物質をきっぱりとやめる必要があります。

摂食障害を患っている場合、すでにアルコール依存症やニコチン依存症になっている場合、依存しているものをやめることは、非常に難しいことです。

しかるべき治療機関に協力をあおぎましょう。

依存症は病識に乏しい病気です。

「いつでもやめられる」と思っている方こそ、止めようと思っても止められないことが多いでしょう。

どこかでそれを分かっているからこそ、止めようと思えないのかもしれません。

【1】-5 摂食障害と癌

過食嘔吐を繰り返しながらも、食道がんが心配で眠れぬ夜を過ごし、その不安を打ち消すように過食嘔吐することがありました。

摂食障害には、消化器系の癌のリスクがあります。
舌がんなどの咽頭がん、食道がんは化学的・機械的刺激や慢性的な炎症が癌の発生に関わっていると考えられます。
摂食障害で過食や過食嘔吐、チューイングする人は、摂食障害の無い人に比べると、何十倍~何百倍も、噛んでいますし、吐きだしていますし、嚥下していますし、嘔吐しています。
口腔~咽喉頭~食道~胃にかけての機械的刺激が非常に多いということです。
また、嘔吐による胃酸で口腔や咽喉頭、食道に炎症が起きるなど、慢性的な炎症も起こりやすい状況にあります。
これら消化器系の酷使は、消化器系の癌のリスクになります。

また、嘔吐時には喉頭上部にも機械的刺激が加わります。
喉頭上部に胃酸による化学的炎症が及ぶ可能性があります。
過食嘔吐によって、呼吸器系の癌に分類される上部喉頭がんのリスクも高くなると思われます。

摂食障害の症状としての嘔吐行為を認める方の場合を考えます。
嘔吐による食道の酷使という面からも食道がんのリスクが高いと考えられます。
それに加え、逆流性食道炎に伴うバレット食道という変化が食道腺癌の下地となります。
つまり、嘔吐するタイプの摂食障害の方に食道がんを発症するリスクはより高いということです。

摂食障害を患っている人の中にはタバコ、アルコール愛用者が多いようです。
タバコ、アルコールの過剰摂取も咽頭がん、喉頭がん、食道がんのリスクとなります。

アルコール常用によりすでに慢性膵炎を合併している人の場合、膵臓がんのリスクもあります。

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