摂食障害のホームページ

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【13】-5 治療者が取り組み続けるべき大きな問題 病態としての「病識の欠如」

病気の当事者である自覚が持てない、いかに深刻な病気かが分からない状態は、最も治療から遠い状態にあります。

病識の欠如、病気の深刻さの認識の持続的欠如は、摂食障害の慢性化・遷延化のリスク因子です。

摂食障害、過食症の患者さんは、経年増加をすでに経験していても、そのこと自体に実感が持てなかったり、これから先は、症状が増えるという気がしなかったり、病状が悪化することが十分に理解できません。

これは、すでに摂食障害、過食症が慢性・遷延化してしまっているか、そのうち慢性・遷延化する方に典型的な状態です。

病気である実感を持てないこと、病気の大変さが分からないことが、摂食障害、過食症の症候であるならば、患者さんはそのことで責められるべきではありません。

かぜで発熱することが責められるべき問題ではないように、病気の症状は、対処が必要となりうるものであって、非難される類のものではないからです。

患者さんにできることがあるとすれば、それはまず、摂食障害、過食症という病気であるからこそ、病気である実感を持てない、病気の大変さが分からない状態に陥りやすい、と知ることです。

 
摂食障害、過食症の方に見られる病識の乏しさは、治療につながりにくく、また、治療離れを促進するものです。

医療機関・治療機関を受診する摂食障害、過食症の患者さんは、おそらく少数派です。

なにしろ、摂食障害、過食症には、自分自身を病気と露ほども思っていない、潜在的な患者さんが大勢いるからです。

治療を望む少数派ですら、期待した効果が得られないことや、医療従事者の対応に失望するなどで、治療から離れ、二度と医療機関に行かなかったりします。

摂食障害、過食症の病態として治療に結びつきにくいことは、難しい問題で、すぐにどうこうできるものではありません。

これは、現在の日本の摂食障害医療では、太刀打ちできていない問題でもあるでしょう。

しかし、これからの摂食障害医療を担う医療従事者、治療者、専門家は、病識の欠如という症候に立ち向かい続け、時間がかかったとしても解決の道を模索し続けなければなりません。