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【10】-4 1型糖尿病 ② 1型糖尿病特有の摂食障害の病理に根差した症状 insulin omission

摂食障害の病理に根差した、1型糖尿病に特有の症状があります。

1型糖尿病は膵臓がインスリンをほとんど分泌できないので、治療にはインスリンの皮下注射が必要になります。

1型糖尿病と摂食障害を合併した場合、その、本来投与すべきインスリンの量を意図的に減らしたり、投与しなかったりすることがあります。
(insulin restriction、insulin omission)

そうすることで体重を減らそうとする試みで、その背景にはやせ衝動があるでしょう。

過食を無かったことにしたい、栄養分とせずに出してしまいたい気持ちがあれば、それは排出衝動です。

必要な量のインスリンを打たなければ、余剰の栄養分が蓄えられず、脂肪が蓄積することは無いかもしれません。

しかし、高血糖となり、場合によっては糖尿病性ケトアシドーシスに陥り、意識を失うこともあります。

insulin omissionをすればするほど、糖尿病としての病態は悪化していき、糖尿病合併症の発症が早まったり、進行しやすいでしょう。

この事実を知っていても、insulin omissionするのであれば、その方は間違いなく摂食障害です。

意思の力ではどうにもならないのが過食衝動、やせ衝動、排出衝動だからです。

過食は過食衝動がもとになるもので、患者さん本人が糖尿病の病態が悪化すると知っていてすら、止められるものではありません。

そして糖尿病の病態の悪化や糖尿病合併症への恐れや不安は、次の過食、過食嘔吐をまねく大きなストレスです。

もともと過食や過食嘔吐は、高血糖をまねきやすく、インスリン抵抗性の悪化、膵臓β細胞のインスリン分泌疲弊をきたしやすいものです。

1型糖尿病を合併する摂食障害の方の死亡率は、摂食障害単独より、また、1型糖尿病単独より、高いという報告もあります。

これは、過食や過食嘔吐、insulin omission、insulin restrictionが、糖尿病の病態の悪化を招き、またそれが摂食障害の病状を悪化させる、という悪循環が結果にあらわれたものです。