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【10】-3 2型糖尿病 ⑤ 2型糖尿病と摂食障害 その2 過食がまねく高血糖、低血糖

摂食障害の症状は、過食のみであったり、過食と絶食をくり返したり、過食嘔吐であったり、チューイングを伴ったり、と非常に多彩です。

いずれのパターンでも、過食を認める場合、高血糖の危険があります。

今までに説明してきたインスリン分泌枯渇や高脂血症によるインスリン抵抗性の増強は、過食による肥満が見られたり、過食嘔吐の方でも過食が勝っている場合に、より起こりやすいものです。

では、過食や過食嘔吐があっても、やせている方ならば安心なのでしょうか。

残念ながらそうではありません。

過食という行為それ自体に、高血糖を誘発したり、膵臓のインスリン分泌枯渇を招く危険があります。

食事に伴う血糖の上昇は、食事の種類、食塊が小腸に到達する量とスピード、小腸に到達した食塊のこなれ具合(消化具合)などが関係します。

私たちが食事をすると、食べ物は一旦胃でストックされ、ある程度こなれた状態になってから、少しずつ小腸に送りだされます。

胃にストックされた食べ物が、こなれた分だけ少しずつ小腸に送られてこそ、胃、小腸、膵臓など消化吸収に携わる多臓器が、穏やかに連動して働きます。

普通の人なら、食事に伴う血糖の上昇具合は、ほぼ食事の内容によるでしょう。

過食症では甘くてやわらかい菓子パンなど、血糖が上がりやすいような食材を好むことが多いですが、問題はそれだけではありません。

過食行為によって消化吸収に携わる多臓器の連動が狂い、高血糖や低血糖をきたす危険があります。

過食によって、急激に胃が広げられたり、胃にある食塊が小腸に到達する量やスピードが狂ったり、ほとんどこなれていない食塊が小腸に送り込まれたりする場合があります。

小腸に急激にたくさんの食塊が送りこまれてきたり、その食塊がほとんどこなれていない状態だった場合、消化管ホルモンの異常分泌が引き起こされます。

これは、胃切除後の早期ダンピング症候群の病態と似ています。

過食後に、腹痛の他に、だるさや眠気などが生じる方がいますが、これは早期ダンピング症候群で見られる症状と同じです。

消化管ホルモンの異常分泌は、消化管の動きを乱れさせて腹痛や便通異常を起こし、また、血管内の水分を小腸内へと多量に奪うため、脳の血流が減って、眠気、だるさなどが生じます。

また、これらの消化管ホルモンの中に、小腸の血管拡張を引き起こすものがあります。

栄養素を身体に吸収するための臓器である小腸に血管拡張が起こると、吸収する糖の量も一気に増えて、血糖値の異常な上昇、高血糖が起こり得ます。

急激な血糖値の上昇に伴い、インスリンの過剰な分泌が誘発された場合、過食してすぐは高血糖でも、食後1~2時間で低血糖となってしまう、反応性低血糖という病態に陥る場合もあるでしょう。

これは、胃切除後の晩期ダンピング症候群の病態と似ています。

過食嘔吐があると、嘔吐行為によって後々吸収できる糖が減り、反応性低血糖が強く出る可能性があります。

反応性低血糖は、いわばインスリンの無駄遣いで、これを経験すればするほどに膵臓のインスリン分泌枯渇をまねくでしょう。

過食の直後にお腹がぐるぐる動く感じがして痛かったり、すごくだるくて眠くなったり、そうかと思うと1~2時間後には冷や汗が出てきて手が震えたり、このような一連の症状を経験したことがありますか?

その場合、過食に伴って高血糖となったり、その後低血糖となっている可能性があります。

摂食障害、過食症で見られる過食という行為には、消化管の連動異常、ホルモン分泌異常を引き起こし、血糖の吸収過程に異常を生じて、高血糖、低血糖になる危険があります。

そしてこれはその方の体格、肥満であろうと著しくやせていようと、関係なく起こりうることです。

これを予防するには、過食をやめるしかありません。

しかし過食衝動に伴った過食は意思で止められるものではないのです。