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【20】-17 摂食障害・過食症・拒食症に見られる生理のトラブル まとめ

 摂食障害・過食症・拒食症では、さまざまな生理のトラブルに見舞われるでしょう。
 大きく分けると、
 やせやストレス、自律神経の異常、過食や過食嘔吐行為による身体の変化でもたらされる排卵障害(無月経、稀発月経、無排卵性周期症、多嚢胞性卵巣症候群)、
 使用している薬物、抗精神病薬や抗うつ剤の影響による排卵障害(無月経)、
 過食や急激な体重増加による生理以外での性器からの出血(不正性器出血)、
 性周期に合わせて精神症状が表面化したり、過食が悪化する場合(これは本人としては月経困難症や月経前症候群として捉えていることが多い。)、
などです。

 それぞれについて、簡単にまとめていきましょう。

 やせている状態やストレスによって視床下部性の排卵障害(無月経・稀発月経)が起こります。
 過食、過食嘔吐、過食と絶食の繰り返し、チューイングは、自分自身で思っているよりも、深く当事者の心を傷つけ、その罪悪感、自己嫌悪の感情だけでも次の過食や過食嘔吐を必要とするほどです。それほどのストレスが性周期に影響しないはずがありません。
  またBMI 21.0以下の場合、視床下部性無月経・稀発月経の発生の閾値の上昇がありえるため、その他の排卵障害の要素が加わると無月経や稀発月経を発症しやすいでしょう。

 過食・過食嘔吐・過食と絶食のくり返しに伴う身体の変化、つまりインスリン抵抗性の上昇、高インスリン血症によって無月経、稀発月経、無排卵性周期症、あるいは多嚢胞性卵巣症候群などの排卵障害が起こるでしょう。
 ここに過食の結果である肥満や内臓脂肪型肥満が加わると、より男性ホルモンが強く作用してしまう結果となります。肥満による肝臓の働きの低下が、男性ホルモンの作用を強めてしまうためです。
 インスリン抵抗性の上昇、高インスリン血症が生殖器に及ぼす影響として、排卵障害だけではなく、不妊症、不育症、流産率の増加があることが分かってきています。
 視床下部性の無月経以外の要因で、摂食障害・過食症・拒食症が不妊の原因にもなりうる、ということです。

 爆発的な過食や過食嘔吐により急激に体重が増えると、脂肪組織でのエストロンの産生が増え、性ホルモンの乱れが生じて排卵障害(無月経、稀発月経、無排卵性周期症)となったり、不正性器出血が起こるでしょう。

 精神科で処方される薬など、脳に影響する薬物が、視床下部や下垂体に影響して排卵障害を引き起こすこともあります。
 抗精神病薬、抗うつ薬による副作用として高プロラクチン血症というものがありますが、このプロラクチンは下垂体から分泌されるホルモンで、これが高いと、視床下部に影響して至適なGnRHの分泌が得られなくなり、LHサージが起こりにくくなるため、無排卵、無月経となります。

 また、摂食障害・過食症・拒食症では自律神経のバランスが崩れていることが多く、月経前症候群が起こる時期、生理前に、めまい、立ちくらみが出る、あるいは増える、ということもあるでしょう。
 夜遅くまで過食して、翌朝の通勤のための電車やバスで、息が苦しくなったり、手が震えて冷や汗が止まらない、めまいで立っていられなくなった、気を失って倒れてしまった、ということはありませんか。
 それが起こるのは、過食で睡眠時間が奪われるため、睡眠不足のせいもあるでしょうし、過食症に伴って自律神経のバランスが崩れているせいもあるでしょう。
 また、生理前にそういう症状が出やすい、悪化している、ということは無いでしょうか。
 摂食障害・過食症・拒食症の方々は、自分の病状を軽く見積もったり、大変な状態と気づけないことがよくあります。
 すべての不調は生理のせい、と思い込んでいるかもしれませんが、過食や過食嘔吐、過食と絶食のくり返し、チューイングなど摂食障害の症状があるのであれば、それは生理のせいではなく、摂食障害・過食症・拒食症に根ざした生理のトラブルなのかもしれません。

 過食や過食嘔吐、過食と絶食のくり返し、チューイングなどなんらかの摂食障害の症状があって、生理周期が整わない、生理と関係ない性器出血がある、生理前後に心身に不都合が出る、など生理のトラブルを抱えている場合、それはそもそも摂食障害に端を発している可能性が高いでしょう。
 その生理のトラブルは、過食、過食嘔吐、過食と絶食の繰り返し、チューイングなど摂食障害の症状をがまんすることなく、いち早く止める、止め続けることで、かなり改善するでしょう。
 それほどに、過食、過食嘔吐、過食と絶食の繰り返し、チューイングなどの摂食障害の症状は、当事者の心身を蝕んでいるのです。