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【15】-4 摂食障害医療の現状 ③ 日本の摂食障害治療

日本の医師、カウンセラーが出来る現実的な対応は、支持的精神療法を基礎として、摂食障害に効果的な治療法の要素を診療場面に取り入れていく、というものでしょう。

しかし、これでは、医師、カウンセラーの技量によって、治療効果に大きく差がでる上に、かなり長い治療期間が必要となるでしょう。

また、治療者自身が、少しでも、過食・過食嘔吐・チューイング・下剤や利尿剤の誤用に関して、
「食べ物をそまつにする罰あたりだ。」
「摂食障害はぜいたく病だ。」
「本人の意思の問題だ。」
と感じている場合、それを言葉や態度に出さずとも、おそらく、摂食障害の患者さんとの間に信頼関係を築くことはできません。

ほとんどの場合、摂食障害・過食症の患者さんの感性は非常に鋭く、言葉や態度に出さずとも自身の病状に向けられる批判的なにおいを察してしまうものです。

摂食障害・過食症では、治療関係を結ぶ難しさもさることながら、それを維持する難しさはそれ以上でしょう。

摂食障害の専門治療に携わる治療者は、摂食障害の病気としての難しさを十二分に理解し、患者さんに共感・同情できる人間的な温かみをもち、また、全体を見ながら時に患者さんと適切な距離を取るなど、人間関係のバランス感覚にも長けた人物でなくてはなりません。

おそらく、そのような医師、カウンセラー、治療者は多くないでしょう。

患者さんが殺到してしまい、過剰な忙しさ、重すぎる責任でもって息切れしてしまい、本来の能力を発揮できていない治療者もいるかもしれません。

ただでさえ、摂食障害・過食症はその身体合併症が多岐にわたり、精神疾患の併存も多いために、複数の診療科で診てもらわなくてはなりません。

摂食障害に悩む患者さんの数に比しても、摂食障害・過食症を総合的に診ることができる医療者が圧倒的に少ない現状があります。

総合的に摂食障害を診てくれる治療者に出会えなければ、患者さん自身が、自分のニーズに合った治療を選び、コーディネートしていくしかありません。

そのためには複数の治療機関を利用せざるを得ないでしょう。

また、患者さん自身が正しく摂食障害という病気を知り、摂食障害医療の現状を知らなくては、総合的に摂食障害を診ることができる治療者や、自身のニーズに合った治療の担い手を正しく選ぶこともできないでしょう。

運よく質の良い治療者に出会っても、その真価を見極められるかどうか、患者さん自身の見る目にかかっています。

治療者を選別する目を養うには、摂食障害・過食症について正しく知ること、摂食障害医療の現状を知ることです。