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【15】-3 摂食障害の専門的な治療について ② 認知行動療法、ガイデッドセルフヘルプ法における過食・過食嘔吐・チューイングへの具体策

摂食障害のための認知行動療法、ガイデッドセルフヘルプ法は、患者さん自らが、積極的に症状に取り組む姿勢をとても重要視しています。

患者さん自らが、食事日誌をつけること、食事や睡眠などの生活リズムを整えることを、強く推奨しています。

過食などの症状も含めて、いつ、なにを食べたか、過食のきっかけ、過食や嘔吐後の気持ち、下剤や利尿剤などの使用の有無を、毎日、毎回、患者さん自身が、食事日誌に記入します。

絶食、飢餓に伴う生理的な過食衝動を抑えるため、1日3食、時間を決めて食事を摂ること、さらに1日2回間食を摂ることをすすめています。

食事日誌をもとに、症状にまつわる自身の内面や状況を見つめ、そこに過食を悪化させたり、改善させたりした要因があったかどうかを、治療者とともに図に書いたり、検討したりします。

また、治療者からの専門的なアプローチでもって、体重や体型、食事に対する考えや感じ方の偏りに気付きが促される場合もあります。

認知行動療法、ガイデッドセルフヘルプ法では、患者さん自身が治療に取り組む姿勢が、必須条件です。

その上で、治療者との共同作業でもって治療にのぞむのです。

認知行動療法、ガイデッドセルフヘルプ法が症状軽減に効果があると認められた治療法だからといって、それをすれば楽に早く症状が止まってしまうわけではありません。

認知行動療法で、自己誘発性嘔吐に対する対応の一例をあげましょう。

まず、治療者と患者さんとで、排出行動の悪影響について話し合い、排出行動を止める方法や、吐くまでの時間を延長する方法を話し合います。

その後、患者さんがホームワークとして、それらの対応策を実験的に行ってみるわけです。

嘔吐したくなったら、散歩に言って気をまぎらわしたり、すぐ吐いてしまうのではなく、吐いてしまうまでの時間を5分でもいいから延ばす、などです。

「絶食しない」
「ダイエットをやめる」
「散歩など気をそらすことをして吐かない」
「吐くにしても吐くまでの時間を少しずつ延ばす」など、
患者さん自身が、地道に、自身の食行動を変えていくことが、認知行動療法に必須のことです。

医師や治療者の手を借り、患者さん自身が食行動の改善に取り組む過程は、摂食障害のための認知行動療法の肝の部分です。

しかし、摂食障害・過食症に見られる過食衝動は、冷静で地道な努力、判断、行動、これらすべてを吹き飛ばしてしまうほどのものです。

普段、どんなに忍耐強く、聡明な人でも、過食衝動の前には、「食べたい」気持ちにほとんどすべてを占領されてしまいます。

嵐のようにやってくる過食や過食嘔吐、チューイングに日々の営みを蹂躙されてしまうのが摂食障害・過食症なのです。

日々、過食・過食嘔吐・チューイング・下剤や利尿剤の誤用に苦しんでいる患者さんが、認知行動療法、ガイデッドセルフヘルプ法に集中するには、大変な困難を伴うでしょう。

無理をして認知行動療法、ガイデッドセルフヘルプ法に望み、そのストレスが後々の過食のエネルギーとなってしまっては、元も子もありません。

摂食障害のための認知行動療法を行える治療者の不足など、現実的な問題もありますが、それを置いておいても、これらの治療を完遂できる摂食障害・過食症の患者さんは、あまり多くないでしょう。

認知行動療法は、患者さんの状況によって、過食が増えかねないほどのストレスがかかる危険を孕む治療法です。

治療者は、その危険を肝に銘じる必要があります。